筋トレを始めたばかりの頃は、トレーニングによって筋肉に負荷をかけることで筋肉痛になることもあるでしょう。
しかし、筋肉痛にならないとトレーニングによる筋力アップの効果は得られないものなのでしょうか?
- トレーニングの効果と筋肉痛の関係
- 筋肉痛が起きたときにトレーニングを続けていいかどうか
- 筋肉痛から早く回復するための3つの対策
- 筋肉痛を起こさないトレーニング方法
など、効率よくトレーニングを行うために知っておきたい筋肉痛と筋トレ効果の関係について考察しました。
Contents
トレーニングの効果と筋肉痛は関係ない?
結論から先に言うと、トレーニングによる筋肉増量や筋力アップの効果には、筋肉痛になったかどうかということはあまり関係ありません。
筋肉痛にならないレベルの筋トレでも、十分に効果は見込めます。筋肉痛とトレーニング効果の関係を、筋肉痛の原因から明らかにします。
筋肉痛の原因は痛み物質?
筋肉痛には2つの種類があります。1つは体を動かしてすぐや動かしている最中に痛みを感じる即発性筋肉痛、そしてもう1つは1~2日の時間をおいて痛みがやってくる遅発性筋肉痛です。
筋トレ後に起こる筋肉痛は、後者の遅発性筋肉痛に分類されます。この記事内の「筋肉痛」は、遅発性筋肉痛を意味しています。
筋肉痛が起こるメカニズムについては、まだ医学的にはっきりと解明されていません。
原因として考えられる要因は、ストレスや慢性的な筋肉の疲労、乳酸の蓄積や痛み物質の分泌などが挙げられます。
中でも疲労物質である乳酸は、長年の間、筋肉痛の原因として考えられてきました。
しかし血液中の乳酸値が運動後すぐに低下することから、近年では乳酸は筋肉痛の原因として考えにくいと指摘されています。
現在、最も有力な筋肉痛の原因は、損傷した筋肉が炎症を起こすことによって分泌される痛み物質です。
トレーニングによって筋肉が破壊されて回復する過程で、ブラジキニンやヒスタミンなどの痛み物質が筋膜にある受容体に働きかけることが筋肉痛の原因であると言われています。
筋繊維には痛みを感じる受容体はありません。
痛み物質が時間をかけて筋繊維の外側にある筋膜に届くことで、初めて筋肉の痛みを感じます。
そのためトレーニングしてから筋肉痛が起きるまでに時間がかかると考えられています。
筋肉痛とトレーニング効果が関係ない理由
筋トレの効果は、
トレーニングによる筋繊維の損傷
↓
栄養補給と休息
↓
筋繊維の回復・増加
のサイクルによってもたらされます。ですから筋肉の損傷によって起こる筋肉痛は、筋力アップを目指す人にとって良いシグナルであると言えるわけです。
ですが、痛みの強さと筋トレの効果は必ずしも比例しません。
トレーニングを続けていると、最初は筋肉痛がひどかったがいつの間にか痛みを感じなくなった、ということが起こります。
よく使う筋肉は毛細血管が発達していて損傷した筋繊維の回復が早く筋肉痛が起こりにくいためではないかと推測されます。
痛みがない状態で同じ内容のトレーニングを続けても筋肉にはちゃんと負荷がかかりますから、筋トレの効果は十分に得られます。
反対に動きに支障をきたすほど激しい筋肉痛を引き起こすオーバートレーニングは、かえって筋肉の成長を妨げることになります。
筋トレの翌日に軽い筋肉痛を感じる程度のトレーニング量が、筋力アップに最適と言えるでしょう。
筋肉痛が起きたらトレーニングは中止した方がいいの?
筋トレの翌日、筋肉痛がある状態でさらに筋トレを続けると、トレーニング効果は高まるのでしょうか?これについての答えはNOです。
すでに上で述べた通り、筋トレの効果は損傷した筋肉が回復することによってもたらされます。
筋肉痛の痛みが残っているということは、損傷した筋繊維がまだ回復しきっていないということです。
筋繊維が回復しないままさらに筋トレを続けて筋肉に負荷をかけても筋肉は増量しません。
筋肉量を増やすために必要なのは、トレーニング後の栄養補給と休息です。
筋トレは2~3日間隔で行い、激しい痛みがある時にはトレーニングを避けるのがベストです。
毎日筋トレしたいなら、トレーニング部位を変える!
「効率を上げるために毎日筋トレしたい!」「1日も早く全身ムキムキになりたい!」という人は、トレーニング部位を変えて毎日筋トレを続けることをおすすめします。
スクワットをした次の日には腹筋を鍛え、そのまた次の日にはダンベルプレスで胸筋のトレーニングをする……といったように、日替わりでトレーニングメニューを変えることで一ヶ所に連続して負荷がかかることを防ぎます。
筋肉痛から早く回復するための3つの対策
部位を変えて毎日筋トレをする以外にも筋トレの効率を上げる方法があります。
それは損傷した筋繊維の修復を早めて、筋肉痛から早く回復することです。
回復が早くなることで、筋トレのペースアップを図ることが出来ます。筋肉痛の回復を早めるための具体的な対策を3つご紹介します。
アイシングで炎症を抑える
筋肉痛は筋肉が炎症を起こした状態で起きます。
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痛む部位をアイシングで冷やして血流を抑えることで、炎症とそれに伴う痛みを軽減することが出来ます。
炎症を起こした直後の筋肉を冷やさなければ効果がないので、筋トレを行ってから48時間以内に行うようにして下さい。
冷やしながら優しくマッサージを行うと、さらに効果的です。
また、入浴によって体が温まると血流がよくなり過ぎて炎症がひどくなる怖れがあります。
激しい痛みがあるときには、入浴を控えた方がよいでしょう。
プロテインを補給する
トレーニングで損傷した筋肉が回復するためには栄養と休息が必要です。
そこで筋トレ直後30分以内にプロテインを飲みます。
プロテイン=たんぱく質は、“筋肉を作るための材料”です。
筋トレと併せてプロテインを飲むことでより効率的に筋肉増強効果が得られるということは広く知られています。
たんぱく質を補給することで損傷した筋繊維の回復が早まるので、結果的に筋肉痛から解放されるまでの時間も早くなります。
さらに筋肉痛から早く回復したい場合には、以下の方法があります。
- たんぱく質の代謝を促すビタミンB6
- 筋肉の疲労回復や再生に役立つ糖質(グリコーゲン)
- 筋肉の収縮やたんぱく質の合成に必要なミネラル
などを一緒に摂るのもよいでしょう。毎日の食事の中にこれらの栄養素を摂り入れることで、筋肉の成長や疲労回復が促進されます。
温めて血流を改善する
アイシングで炎症を抑えた後に筋肉を温めることも、有効な筋肉痛解消法です。
冷やすことで滞った血流が改善されて、筋肉の回復が促進されます。
入浴や温湿布などで冷やした筋肉を温めるほかに、患部を温水と冷水に交互に浸す方法もあります。
38℃程度のぬるめのお湯で、ゆっくりと筋肉を温めましょう。
筋肉痛を起こさないトレーニング方法
筋トレによって筋肉痛が起きることは、ある程度仕方ないことと言えますが、痛みによって日常生活に支障をきたすことはなるべく避けたいものです。
筋肉痛を予防するトレーニングの方法について知っておきましょう。
筋肉痛を予防したいなら筋トレ前後にストレッチを行う
筋肉痛を予防するためには、筋トレ前後のウォーミングアップとクールダウンをしっかり行います。
トレーニング前にストレッチで筋肉をしっかりほぐすと、血行がよくなり筋肉の伸縮性が高まります。
また運動前のストレッチは、筋肉痛以外の怪我の予防や関節の柔軟性を高めるためにも効果的です。
また筋トレが終わった後にもストレッチ運動を行って、筋肉をクールダウンさせます。
トレーニングで酷使した筋肉を、時間をかけてゆっくり伸ばすことで、リラックス効果や疲労回復効果を得ることができます。
すでに筋肉痛が起きている場合でも、ストレッチで筋肉をほぐすことで、痛みの軽減につながります。
ウォーミングアップ時と筋トレ後、それぞれどんなストレッチを行うと良いかは、以下の項目を参考にして下さい。
ラジオ体操
ラジオ体操のように、手足を大きく振って全身を動かすストレッチ運動を、「動的ストレッチ」と呼びます。
動的ストレッチは筋肉を大きく動かして手足を伸ばすことで、関節可動域を広げる効果があります。
筋トレ前のウォーミングアップには、動的ストレッチがおすすめです。
静的ストレッチ
一方で、筋トレ後のクールダウンには、「静的ストレッチ」と呼ばれるストレッチ運動を行います。
静的ストレッチは、1つの動作につき15~30秒程度の時間をかけてゆっくりと筋肉を動かします。
手首や肩、太ももの内側など筋トレで使用した部位の筋肉を、反動をつけず脱力した状態でほぐしましょう。
筋肉痛は筋肉量アップの前触れ!
何度も繰り返しますが、筋肉は、筋トレによって損傷した筋繊維が再生・回復することによって増強します。
そして筋肉痛は、損傷した筋繊維の炎症によって分泌される痛み物質が原因であるという説が有力です。
つまり筋肉痛が起きたということは、これから筋肉量がアップするという前触れのようなものなのです。
しかし痛みの強さが筋肉増強効果に比例するわけではありません。
しかし、あまりに強い痛みがあると、トレーニングの継続だけでなく日常生活における動作にも支障をきたす場合があります。
可能な限り筋肉痛の早期回復・予防に努めたいものです。
筋肉痛を早く回復させるためには、
- トレーニングから48時間以内にアイシングで筋肉を冷やす
- 筋トレと並行してプロテインやビタミンB6、糖質、ミネラルなどの摂取を行う
- アイシングで一旦冷やした筋肉をお湯で温めて、血流をよくする
などの対策が有効です。
また筋肉痛を予防するためには、
- トレーニング前にラジオ体操などの動的ストレッチでウォーミングアップする
- トレーニング後に静的ストレッチで時間をかけてクールダウンする
ことをおすすめします。
筋肉痛がある状態で無理にトレーニングを続けていると、大きな怪我につながり、かえって筋肉が痩せてしまう怖れもあります。
しっかりと筋肉痛対策をした上で、効率よく筋肉量アップを目指しましょう。
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